生命情報科学若手の会
第12回研究会
開催報告
オンライン開催となった第12回研究会は、盛会のうちに閉会しました。ZoomとSlackを使った発表・ディスカッションという新たな試みとなり、必ずしも円滑に進まない部分もありましたが、参加いただいたみなさまにとって、自身の研究をさらに発展させ、また他の参加者から刺激を受ける機会となったようであれば幸いです。
表彰
本研究会では、参加者の投票により特に優れた発表や議論をされた方を表彰いたしました。以下が受賞された方々です。おめでとうございます。(五十音順)
優秀発表賞
伊東眞琴さん(東大新領域 )
金子博人さん(京大化研 )
熊谷洋平さん(海洋研究開発機構(JAMSTEC) 生命理工学センター )
今野直輝さん(東大理学系)
Best Activator Award
福永秀蔵さん(トロント大バイオインフォマティクススペシャリスト )
お詫び:閉会式で受賞者を発表しましたが、のちほど集計に誤りがあることが発覚し、受賞対象者を訂正いたしました。上記は訂正後の結果です。参加者の皆様にご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした。
開会式の様子
SpatialChatを用いて懇親会でも熱い議論を交わすことができました(画像には処理を加えています)
受賞コメント
受賞者の方に参加・受賞の感想を寄稿いただきましたので以下に掲載いたします。執筆いただきありがとうございました!
伊東眞琴さん
今回思いもよらずこのような賞を頂戴し、大変恐縮でございます。ひとえに、何度もディスカッションに付き合ってくださった研究室の皆様のおかげと深く感謝しております。私自身はまだまだ未熟者ですので、これからより一層精進して参ります。今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
新型コロナ感染症の影響を受けて急遽オンライン開催となった本会でしたが、そのような状況の中でも、生命情報を共通項とする非常に幅広いテーマに触れ、バイオインフォマティクスの面白さを実感した、大変濃密な2日間でした。経済学からバイオインフォマティクスへ分野を大きく移っての参加であったため、参加前には大きな不安を抱えておりましたが、これは全くの杞憂でした。まず、ワールドポスターでの発表は、基本的な質問も気軽にできる場となっており、様々な方の研究について丁寧に理解を深めることができました。何よりも、これからの研究に繋がるコメントと、「面白いですね、楽しみですね。」という前向きなお言葉を様々な方から頂戴できたことは、これから研究を進めていく上での大きな糧となりました。また、キャリアパスやコロナ禍での研究についてのディスカッションでは、若手の中でも様々な立場の方と考えを共有することができ、困難な現状を共に乗り越えていこうという気持ちを改めて確認する重要な場となったと感じております。
新型コロナ感染症の影響で状況が一変し、特に運営スタッフの皆様におかれましては大変なご苦労があったことと拝察いたします。改めてスタッフの皆様と支援してくださったあらゆる方に深く感謝いたします。
金子博人さん
バイオインフォマティクス学会からのメールで若手の会を知り、今回初めて参加させていただきました。パンデミック下でオンライン開催となり、どんな会になるのか不安半分、わくわく半分で当日を迎えました。口頭発表やポスター発表はZoom で発表しながらSlackで質問を受け付ける形式。オンラインにつきものの質疑応答へのハードルの高さは、文字ベースのSlackを使うことで相殺され、僕自身もたくさん質問をし、また受け答えすることができました。この会に参加している同年代のバイオインフォマティシャンの発表や議論には本当に刺激を受けました。どの方も冴え渡るアイデアを持っていて、高いオリジナリティの研究をしているな、と感じたのです。発表以外では、ご飯はグループごとにZoomで話しながら食べるという形式で、オンラインながらほかの参加者と打ち解けることができました。懇親会はSpatial Chatという仮想の大きな部屋の中でパーティができるというサービスの上で行われ、深い話、くだらない話、ないまぜになって夜が深まる本当の懇親会と同じ感覚が楽しめました。閉会式が終わった後、外に出てみました。夕焼けに染まる町屋と酒蔵の町並み。そうか、ずっと京都にいたのか。まるで本来の開催地だった北九州へ出向き、合宿形式で開催される予定だったという若手の会に参加したような気持ちになっていました。最後に、この大変な状況下で急遽オンライン開催となったにも関わらず、ここまで楽しめる会を準備、運営してくださった全てのスタッフの方々に感謝いたします。そして、素晴らしい発表の数々のなかで優秀発表賞に選んでいただけたことを本当に光栄に思います。
熊谷洋平さん
この度は名誉ある賞を頂きまして誠にありがとうございます。生命情報科学若手の会(以下BI若手)は2014年の第5回研究会(検見川)で初参加し、それから途中スタッフやったりもしながら細々と関わり続けてきました。せっかくの機会なので大好きなBI若手の良さを列挙させて頂き、受賞の言葉とさせて頂きます。
1. 新陳代謝の良さ
「変わらない主要メンバーと一緒にそのまま歳をとっていく」というのは若手の会あるあるかと思うのですが、BI若手はスタッフ含め継続的に新しい学生が入ってきていてすごいと思います。そろそろ最古参/最年長メンバーになりつつありますがあんま垣根を感じない雰囲気も好きです。
2. 興味の幅広さ
今回の発表はかなり海洋学に寄った内容で、生命情報科学の人にウケるかどうか不安でした。しかしご評価頂けたのは、BI若手の参加者の皆様の興味の幅が非常に広いということかなと思います。なんでも面白がる文化はいろんな分野の人が気軽に参加できることに繋がり、会としての多様性を生んでいると思います。
3. 招待講演の良さ
毎回招待講演がすごくいいです。今回も三浦先生のお話には生物学の面白さが詰まっていましたし、片山先生の生命情報学におけるエンジニアリングのお話もとても刺激的でした。第5回研究会の三浦耕太先生、第8回研究会の落合陽一先生など、強く印象に残っている過去の講演も沢山あります。
つらつら書きましたが、結局長く関わっている理由はいる人が好きだから、っていうのが一番大きいです。このような素晴らしい会を企画運営し、初のオンライン開催を大成功させたスタッフの方々、本当にお疲れ様でした!
今野直輝さん
2度目の参加となった今年の若手の会もあっという間に過ぎてしまいました。この会について昨年も今年も強く感じたのは、参加する全員がお互いの研究を語り合い、積極的にフィードバックし合うことがとても大切にされている環境だということです。特に今年はオンライン開催のために制限される部分もありましたが、それでもZoomやSpatialChatを利用することで議論したい人と満足するまで議論できるという点は変わらず楽しめました(自分が寝落ちした後、朝まで議論していた人もいて驚きました笑)。面白い研究をしている同世代の方と知り合い、仲良くなれる場としてとても貴重だと思いますし、今後どこかで一緒に研究することもあるかもしれないと思うとワクワクします。参加者や招待公演された先生方の研究対象も基礎研究から技術開発、分子から生態系までと幅広く、内容が密に詰まった発表にとても刺激を受けました。昨年参加した時に「ここに参加している彼らと面白さを共有できる研究ができると良いな」と思った後、自分なりに大規模かつ複雑なデータにもがきながら1年が過ぎ、今年の発表で発表賞を頂けてとても嬉しく思っています。これを励みにして今後さらに研究を深めていきたいです。また、今回参加していた方と次にお会いして議論できる機会を楽しみにしています。最後になりますが今年も会を企画運営して下さった皆様、本当にありがとうございました。
福永秀蔵さん
若手の会へは今回が初めての参加でしたが、本当に参加してよかったです。若手の会の素晴らしい点として、まずコミュニティを広げやすいという点が挙げられます。バイオインフォに携わる若手が集まり、近い距離感で密な議論を交わすことで自分の名前を知ってもらい相手の名前を知ることができる、絶好の機会でした。同世代の方々を知り仲良くなることは、様々な研究に触れられるだけでなくモチベーションの向上などにもつながり、非常に良い刺激となりました。
また、研究を始めてまだ3ヶ月の初学者でも議論にしっかりと参加できるように随所に工夫が凝らされていたと感じます。特にワールドポスターでは6人で発表・議論を行うことで濃いフィードバックが得られましたし、他には無いほどに深い議論ができて非常に楽しかったです。
今回光栄なことにBestActivator Awardを頂きましたが、参加者の方々の間で飛び交う鋭い質問の数々に自分自身大いに刺激を受け、議論に積極的に参加しようと感化されていたので、このような形で評価していただきましたことを大変嬉しく思います。こんな素晴らしい機会なかなかないと思いますし、何よりめちゃくちゃ楽しいので、参加を悩んでいる方はぜひ参加することをお勧めします!
オンライン開催のお知らせ(2020/6/1)
新型コロナウイルス感染症の影響により会場確保の見通しがつかないため、生命情報科学若手の会 第12回研究会は全面的にオンラインで開催します。
あわせて、開催日程を2020年8月27日(木)〜28日(金)に変更いたします。連携開催となる日本バイオインフォマティクス学会年会・第9回生命医薬情報学連合大会(IIBMP2020)と近接した日程を維持しつつも、多くの方がより参加しやすくなるように平日開催とするものです。
開催方法の詳細は追ってご案内いたします。本会のTwitterアカウントでも情報を発信しますのでご覧ください。イレギュラーな開催形態となりますが、むしろ普段以上に充実した研究会となるようスタッフ一同鋭意努力いたします。みなさまのご参加をお待ちしております!
開催趣旨
生命情報科学若手の研究会では、情報科学の視点に基づく新しい生物学研究を志す若手研究者の交流を推進しており、研究発表やディスカッションを泊まり込みで行う合宿形式の研究会を毎年開催しています。wetやdryの垣根なく、学生やポスドクを中心とした幅広い分野の若手研究者の参加があり、研究からキャリアパスの話題に至るまで活発に討論し交流を深めています。
生命情報科学若手の会では、生命科学と情報科学を跨ぐ学際分野を担う若手研究者の交流推進を目的として、過去11回の研究会を開催してきました。昨年度の年会では約40名の参加者が交流し、それぞれの研究内容や生命情報科学分野の将来について議論を交わしました。開催の様子は日本バイオインフォマティクス学会のニュースレターで紹介されています。昨年の年会のページでは参加者のレポートも公開しています。
本年の研究会では特別な試みとして、「日本バイオインフォマティクス学会年会・第9回生命医薬情報学連合大会(IIBMP2020)」と連携して開催時期・場所を揃え、両学会への参加が容易となる形で開催します。また今回も、十分な研究費をお持ちでない参加者を対象に、交通費・宿泊費のサポートを行う予定です。バイオインフォマティクスを始めたいと考えている方や初心者でアドバイスをもらいたいという方から、各種データ解析やアルゴリズム設計、機械学習等のエキスパートの方まで、全国津々浦々からの積極的なご参加をお待ちしております。
招待講演
片山俊明 ライフサイエンス統合データベースセンター(DBCLS)/特任准教授
三浦 徹 東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻 附属臨海実験所/教授
発表方法
Contact
お問い合わせはbioinfowakate_staff@googlegroups.comまでお気軽にご連絡ください。