生命情報科学若手の会
第13回研究会
「生命情報科学✕ウイルス学 若手交流会」
研究会の概要
こちらのページをご覧ください。
日程
日程 2021年10月22日(金)~24日(日) 盛況のうちに閉会致しました
開催報告
昨年に引き続きのオンライン開催となりましたが、今年はオンラインだからこそのさらなる研究会の発展を目指し、オンラインでなかなか不足しがちな交流の側面を重視した企画を実施したのみならず、ウイルス学若手の方々とのコラボレーションによる一層の分野横断を実現することができました。みなさまのご協力によりきわめて活発なオンラインでの交流を行うことができ、スタッフ一同感謝しております。参加いただいたみなさまにとって、自身の研究をさらに発展させ、また他の参加者から刺激を受ける機会となったようであれば幸いです。
各企画の概要と開催報告
(1)ピッチトーク
一人2分間で、自己紹介&研究紹介をする企画です。一日目の一番最初に行いました。他の参加者のことを知って、話のネタにしたり、気になる研究テーマの人に話しかけるきっかけにしたりする人が多かったようです! スライド例
Slack上での参加者の反応 (→)
(2)研究ディスカッション
各参加者の研究を発表しあう企画です。4、5人のグループに分かれてそのうちの3人が各20分ほど発表し(他の参加者との議論も含む)、それを2日間でグループを変えながら8回行いました。少人数での発表なので、経験の浅い学生でも異分野の発表に質問しやすく、どのグループでもディスカッションが活発に行われていました!また、研究を始めて日が浅く、明確な結果が出ていなくても問題ありません!実際、学部生のほとんどは研究プロポーザルを発表していました。
(3)NGS
第14回の目玉の企画とも言えるのがNGS (Next Generation Science)です。この企画は、グループごとにディスカッションを行い、生命情報科学やウイルス学での未解決課題に対して新たな研究を提案するというものです。各グループにはバックグラウンドも学年も異なる5名程度のメンバーが配属され、合計4時間程度で密なディスカッションを行いました。ディスカッションの中では未解決課題を洗い出し、課題解決法を全員で考えました。これらのディスカッションを通じて考案された解決策を10分程度のスライドにまとめ、参加者同士で質疑応答を通じて更なる議論を行いました。
当日の発表スライド(1グループの例)はこちら
Slack上での参加者の反応 (→)
当日話し合われた未解決課題(1グループの例はこちら)
再現性問題 使用しているソフトウェアのバージョン違いインハウス・スクリプトの存在によって損なわれがちなバイオインフォマティクス解析の再現性を向上させるにはどうすれば良いか? keyword: パイプライン化、仮想化、実験のロボット化
ジェノタイプ:フェノタイプ問題 未だに多くの部分が機能未知である配列情報をどうすれば表現型と結びつけることができるか?たとえばSNSにおいて一般市民が発信する情報(eg. インフルエンザにかかった、○○の生物を目撃した)などをどうすれば活用できるか?
生命科学と情報科学 生命科学の基盤技術となっているソフトウェア・データベースであっても、その保守・運用や時代に合わせた再開発などは業界として評価を受けにくい。生命科学における情報技術の開発・研究をこれからどうやって推進すればよいだろうか?
Nextパンデミック予想!! 野生動物を自然宿主とするウイルスが偶発的にヒトに感染することにより発生するパンデミックをどうすれば予測できるだろうか?どのウイルスが次のパンデミックを起こし得るのか、予想することは可能だろうか?
ウイルス感染症の万能薬を探せ!! 未知のウイルスによる新興感染症の治療薬を一から開発するには莫大なリソースが必要だが、この問題を解決可能な、多様なウイルス感染症に効く“万能薬“は創り出せないだろうか?
ウイルスの起源に迫る ウイルスは地球上で最も多様な遺伝子物質であり、その起源はいまだ謎に包まれている。ウイルスの誕生は生命の起源よりも早かったのか?これほど多様なウイルスが単一祖先から進化してきたのか?
表彰
本研究会では、参加者の投票により、研究会全体で特に議論を盛り上げてくださった方(Best Activator Award)および「Next Generation Science (NGS) :未解決問題への研究提案」企画において特にチームを横断して後押ししてくださった方(Best Helper Award)を表彰いたしました。以下が受賞された方々です。おめでとうございます!
Best Activator Award
川崎純菜さん(京大ウイルス再生研)
伊東潤平さん(東大医科研)
伊東眞琴さん(東大新領域)
Best Helper Award
川崎純菜さん(京大ウイルス再生研)
西村瑠佳さん(総合研究大学院大学)
道下瑛陽さん(早稲田大学先進理工学部電気・情報生命工学科 浜田研究室)
Zoomでの全体集合写真(解像度を落として掲載しております)
受賞コメント
川崎純菜さん(京大ウイルス再生研)
今回はこのようなすばらしい賞をいただき大変光栄です。はじめに、本研究会を運営してくださった生命情報科学若手の会・ウイルス学若手ネットワークの皆様、そして私の素人質問にも丁寧に対応し議論を深めてくださった参加者の皆様に感謝いたします。本研究会では、ワールドポスター形式での研究発表や未解決問題に対するディスカッションといった企画を通して、生命情報科学とウイルス学の研究者が積極的に意見を交わすことができました。ここで構築された関係は今後の融合研究の礎になると強く感じています。数年後に、本研究会をきっかけに生まれた研究成果について、さらなる議論ができるよう、私自身も精進したいと思います。この度は本当にありがとうございました。
伊東潤平さん(東大医科研)
このような賞を頂戴し、大変光栄です。私はウイルス若手側からの参加でしたが、本研究会は生命情報若手とウイルス若手が隔てなく密なコミュニケーションを取れた大変貴重な機会となりました。このような機会を頂けたこと、ウイルス側からの参加者を代表し深く感謝いたします。本研究会で得た知識および生命情報若手の皆様とのコネクションを活かし、自身の研究を少しでも発展できるよう、ウイルス若手一同精進して参りたいと思います。また数年後に生命情報若手とウイルス若手の合同で研究集会を開催できたらいいですね。最後になりますが、本研究会を企画・運営してくださった生命情報若手の皆様、およびウイルス若手一同を迎え入れてくださった生命情報系の参加者の皆様、本当にありがとうございました。
伊東眞琴さん(東大新領域)
思いもよらずこのような賞を頂戴し、大変恐縮です。ひとえに、皆様の研究の底知れぬ魅力と、普段より議論にお付き合頂いている研究室の皆様のおかげです。例年と異なり、交流をメインとして大きく舵が切られ、中学生の方からアカポスの方まで広くご参加いただいた本会でしたが、企画を通してどんな人が研究をしているのかを知った後には、各々の研究により一層強く惹きつけられ、議論は尽きることがありませんでした。そして、今回築いた関係は、本会限りでなく今後も続いていくものであると強く感じております。今後新たに参加をご検討いただく皆様にとっても、立場に関わらず研究を軸に交流できる貴重な機会であり続けるのでは、と思います。改めてご一緒させて頂いたスタッフの皆様、ウイルス学若手の会の皆様に深く感謝申し上げます。
西村瑠佳さん(総合研究大学院大学)
この度はBest helper awardをいただき、大変恐縮です。私は今年で3回目の参加となり、昨年度からはスタッフという形で本研究会の運営にも携わっております。オンラインでの研究会というと一方向でのコミュニケーションになりがちですが、本研究会では少人数での研究ディスカッションや研究提案などのイベントを通じ、密なコミュニケーションを取ることができました。私自身参加者の一人として様々なバックグラウンドの方と交流することができて大変満足しております。また、今回ウイルス学若手の皆様と共同で研究会を開催させていただいたため、ウイルスと生命情報科学それぞれの分野の研究者の皆様から、たくさんのことを学ばせていただきました。最後になりましたが、一緒に運営してくださったスタッフの皆様、そしてウイルス学若手の皆様に感謝申し上げます。
道下瑛陽さん(早稲田大学先進理工学部電気・情報生命工学科 浜田研究室)
今回,初めての参加でこのような賞をいただき,たいへん驚いております.というのも,研究室外の方とコミュニケーションをとるのがこの生命情報科学若手の会で初めてで,内心ドキドキしながらの参加でした.何よりも,運営の方にどの企画も非常に楽しく参加できるよう準備していただいたおかげだと感じております.ありがとうございました.特に刺激的だったのは,「NGS:未解決問題への挑戦」でした.ドライ研究を行っている身では知らない知識,思いつかない発想の中で夢を膨らませて話していると,いつの間にか時間が過ぎ去っていました.また,他グループの発表を聞いていても,さらに面白いアイデアに惹き込まれていました.この度はBest Helper Awardの4位(3位)に選出いただいたということで,この企画を盛り上げるのに一役買えたのかなと,身に余る光栄です.自身も様々なバックグラウンド・興味を持つ方々からたくさんのことを教えていたきました.皆様にもお礼申し上げます.この素晴らしい機会を研究に生かしていきたいと思います.