第18回 セミナー

DNAイベントレコーディングについて、谷内江先生に聞いてみよう!

開催趣旨

3月のセミナーにて、ブリティッシュコロンビア大学より谷内江望先生をお招きし、これまでの研究についてご講演いただきます。


谷内江先生は合成生物学・バイオインフォマティクスを専門とし、細胞の自己組織化メカニズムの解析技術開発を中心に研究されてきました。今回はこれまでの研究とご自身のキャリアについてご講演していただきます。


また、本セミナー後には懇親会を予定しております。そちらでは谷内江先生より詳しいお話を聞くのはもちろん、参加者間の交流を深めていただけます。こちらも是非ご参加ください。

概要

日程 2025年3月29日(土) 10:00-11:00(終了後、オンライン懇親会)

会場 Zoomによるオンライン開催

参加資格/参加費 どなたでも無料でご参加いただけます。

参加登録 https://forms.gle/xV4uv7GNGgDMbLR29   (登録後、Zoom URLが表示されます)

司会 竹内峻平(東京大学新領域創成科学研究科

講演者

谷内江望   先生

ブリティッシュコロンビア大学・大阪大学・東京大学

講演タイトル

Technologies for "look-back-in-time" biology

要旨

細胞は分裂し、ゲノム情報を娘細胞に伝え、機能を動的に変化させて多様な組織構造を形成します。受精卵から始まる発生過程では、細胞外部からのシグナルが内部シグナルに変換されて遺伝子発現パターンを変化させ、細胞の状態を遷移させます。さらに、そのように変化する細胞はさらに他の細胞の環境へのシグナルを生み出すので、一連の反応が複雑に繰り返される中で、多数の細胞が異なる空間領域で機能的なクラスターへと自己組織化します。しかしながら、分子・細部レベルでの観察は生物試料の破壊を必要とするので、この複雑で美しいダイナミクスを観察する決定的な方法はまだありません。これまでに、私達の研究グループは「DNAイベントレコーディング」と「遡及的クローン単離」という二つの技術開発を進めてきました。DNAイベントレコーディングは、生命システムで起こる分子および細胞イベントが人工のDNAテープに時間経過と共に記録されていくビデオカメラのようなシステムを細胞内に構築しようというアイディアです。多数の細胞それぞれが経験した過去の動的な細胞分裂系譜や遺伝子発現プロファイルの変化を1細胞ゲノミクス技術で一斉に読み出し、計算機で再構成しようとしています。遡及的クローン単離では、集団内の細胞を一つひとつ短いDNAバーコードでタグ付けし、これをわずかに増殖させます。その後、これを二つのサブグループに分け、一方を特定のアッセイに使用すると、時間が経過した後、特定の表現型を示す細胞クローンが認められることがあります。このような場合において、もう一方の初期に保存されたサブグループから同じバーコードを持つ細胞クローンを単離し、「将来特定の運命を持つようになる細胞」がどのような初期状態にあるのかを調べることなどができます。これらの新技術開発における私たちの最新の状況を共有します。

懇親会

講演終了後の11時よりzoomを用いたオンライン懇親会を行います。参加者同士で親睦を深めましょう。

Contact

お問い合わせはbioinfowakate_staff@googlegroups.comまでお気軽にご連絡ください。

なお、メール本文に署名と自分のメールアドレスを含めて頂くようお願い致します。