生命情報科学若手の会

第13回研究会


「生命情報科学✕ウイルス学 若手交流会」

開催報告


昨年に引き続きのオンライン開催となりましたが、今年はオンラインだからこそのさらなる研究会の発展を目指し、オンラインでなかなか不足しがちな交流の側面を重視した企画を実施したのみならず、ウイルス学若手の方々とのコラボレーションによる一層の分野横断を実現することができました。みなさまのご協力によりきわめて活発なオンラインでの交流を行うことができ、スタッフ一同感謝しております。参加いただいたみなさまにとって、自身の研究をさらに発展させ、また他の参加者から刺激を受ける機会となったようであれば幸いです。


表彰

本研究会では、参加者の投票により、研究会全体で特に議論を盛り上げてくださった方(Best Activator Award)および「Next Generation Science (NGS) :未解決問題への研究提案」企画において特にチームを横断して後押ししてくださった方(Best Helper Award)を表彰いたしました。以下が受賞された方々です。おめでとうございます

Best Activator Award

  • 川崎純菜さん(京大ウイルス再生研)

  • 伊東潤平さん(東大医科研)

  • 伊東眞琴さん(東大新領域)

Best Helper Award

  • 川崎純菜さん(京大ウイルス再生研)

  • 西村瑠佳さん(総合研究大学院大学)

  • 道下瑛陽さん(早稲田大学先進理工学部電気・情報生命工学科 浜田研究室)

受賞コメント

Zoomでの全体集合写真(解像度を落として掲載しております)

川崎純菜さん(京大ウイルス再生研)

今回はこのようなすばらしい賞をいただき大変光栄です。はじめに、本研究会を運営してくださった生命情報科学若手の会・ウイルス学若手ネットワークの皆様、そして私の素人質問にも丁寧に対応し議論を深めてくださった参加者の皆様に感謝いたします。本研究会では、ワールドポスター形式での研究発表や未解決問題に対するディスカッションといった企画を通して、生命情報科学とウイルス学の研究者が積極的に意見を交わすことができました。ここで構築された関係は今後の融合研究の礎になると強く感じています。数年後に、本研究会をきっかけに生まれた研究成果について、さらなる議論ができるよう、私自身も精進したいと思います。この度は本当にありがとうございました。

伊東潤平さん(東大医科研)

このような賞を頂戴し、大変光栄です。私はウイルス若手側からの参加でしたが、本研究会は生命情報若手とウイルス若手が隔てなく密なコミュニケーションを取れた大変貴重な機会となりました。このような機会を頂けたこと、ウイルス側からの参加者を代表し深く感謝いたします。本研究会で得た知識および生命情報若手の皆様とのコネクションを活かし、自身の研究を少しでも発展できるよう、ウイルス若手一同精進して参りたいと思います。また数年後に生命情報若手とウイルス若手の合同で研究集会を開催できたらいいですね。最後になりますが、本研究会を企画・運営してくださった生命情報若手の皆様、およびウイルス若手一同を迎え入れてくださった生命情報系の参加者の皆様、本当にありがとうございました。

伊東眞琴さん(東大新領域)

思いもよらずこのような賞を頂戴し、大変恐縮です。ひとえに、皆様の研究の底知れぬ魅力と、普段より議論にお付き合頂いている研究室の皆様のおかげです。例年と異なり、交流をメインとして大きく舵が切られ、中学生の方からアカポスの方まで広くご参加いただいた本会でしたが、企画を通してどんな人が研究をしているのかを知った後には、各々の研究により一層強く惹きつけられ、議論は尽きることがありませんでした。そして、今回築いた関係は、本会限りでなく今後も続いていくものであると強く感じております。今後新たに参加をご検討いただく皆様にとっても、立場に関わらず研究を軸に交流できる貴重な機会であり続けるのでは、と思います。改めてご一緒させて頂いたスタッフの皆様、ウイルス学若手の会の皆様に深く感謝申し上げます。

西村瑠佳さん(総合研究大学院大学)

この度はBest helper awardをいただき、大変恐縮です。私は今年で3回目の参加となり、昨年度からはスタッフという形で本研究会の運営にも携わっております。オンラインでの研究会というと一方向でのコミュニケーションになりがちですが、本研究会では少人数での研究ディスカッションや研究提案などのイベントを通じ、密なコミュニケーションを取ることができました。私自身参加者の一人として様々なバックグラウンドの方と交流することができて大変満足しております。また、今回ウイルス学若手の皆様と共同で研究会を開催させていただいたため、ウイルスと生命情報科学それぞれの分野の研究者の皆様から、たくさんのことを学ばせていただきました。最後になりましたが、一緒に運営してくださったスタッフの皆様、そしてウイルス学若手の皆様に感謝申し上げます。

道下瑛陽さん(早稲田大学先進理工学部電気・情報生命工学科 浜田研究室)

今回,初めての参加でこのような賞をいただき,たいへん驚いております.というのも,研究室外の方とコミュニケーションをとるのがこの生命情報科学若手の会で初めてで,内心ドキドキしながらの参加でした.何よりも,運営の方にどの企画も非常に楽しく参加できるよう準備していただいたおかげだと感じております.ありがとうございました.特に刺激的だったのは,「NGS:未解決問題への挑戦」でした.ドライ研究を行っている身では知らない知識,思いつかない発想の中で夢を膨らませて話していると,いつの間にか時間が過ぎ去っていました.また,他グループの発表を聞いていても,さらに面白いアイデアに惹き込まれていました.この度はBest Helper Awardの4位(3位)に選出いただいたということで,この企画を盛り上げるのに一役買えたのかなと,身に余る光栄です.自身も様々なバックグラウンド・興味を持つ方々からたくさんのことを教えていたきました.皆様にもお礼申し上げます.この素晴らしい機会を研究に生かしていきたいと思います.

開催趣旨


新型コロナウイルスの影響でありとあらゆる学術活動がオンラインに移行していく中、「学会」という組織のあり方が今一度問われています。生命情報科学若手の会では例年「研究会」という伝統的な形式で若手研究者や学生に発表と交流の機会を提供してきました。顔を合わせて議論や雑談を交わすという機会を奪われてしまいましたが、同時にこれまでとは異なる開催方針を模索する好機となりました。本年度はウイルス学若手の会の方々から開催協力のお声がけをいただいたというきっかけもあり、これまでの「研究会」というスタイルから脱却しオンラインならではの「交流会」という形で本年度の年会を開催する運びとなりました。オンライン開催の様子については第12回研究会ページをご覧ください。


特に「交流」という側面に重きを置いておりますので、まだ研究テーマが決まっていない学生さんから現場で活躍する方々まで幅広い層の参加を歓迎いたします。研究室やwet/dryといった分野の垣根を超えて様々な若手人材による交流をぜひお楽しみください。皆様のご参加をスタッフ一同お待ちしております。

お知らせ

  • 10/14 ピッチトークスライド提出方法等について、10月1日(金)と10月14日(木)に参加者の皆様に案内メールを送信いたしました

    • もしお心当たりがない場合、お手数ですが迷惑メールフォルダをチェックしていただくか、bioinfowakate_staff@googlegroups.comまでご連絡をお願いいたします

  • 9/10 第13回研究会の参加登録を締め切りました

  • 8/2 第13回研究会「生命情報科学✕ウイルス学 若手交流会」のページ(本ページ)を公開しました

概要

日程 2021年10月22日(金)~24日(日)

会場 オンライン開催

代表 板谷琴音(理化学研究所 生命機能科学研究センター)

スタッフ一覧

参加登録のながれ

  1.  9月3日(金)【延長】9月10日(金)までに、参加登録フォームより参加登録をする   
    締め切りました。

  2.  10月15日(金) までに、ピッチトークで用いるスライドのPDFデータをアップロードする(アップロード先は後日案内)

第13回研究会には、どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

*ただし、研究会の趣旨に反する方のご参加はお断りする場合があります。

*登録人数によっても、登録期日等は変更させていただく可能性がございます。

発表について

本年度はオンライン開催の強みを活かし「ディスカッション」を主軸においた研究発表を行っていただきます。参加者にはまず自己紹介や簡単な研究紹介などを「ピッチトーク」という形で短く発表していただきます。その後、「グループディスカッション」という形で少人数グループの中でじっくりと時間を取り、研究の詳細についてお話いただき密なコミュニケーションを取れようになっています。またプログラム外ではありますが懇親会の時間においてもオンライン会議ツールを使用した研究に関するディスカッションを行っていただけるような環境をご用意いたします。

ピッチトーク

Pitch Talkとはエレベーター・ピッチというプレゼン方式を元にしたライトニング・トークです。エレベーター・ピッチは「エレベーターで一緒に乗っているわずかな時間に、周囲の人にアイデアや商品を売り込む」というものです。研究についてのみならず、ご自身のスキル・興味・趣味といったオーソドックスな研究発表に囚われない内容をぜひお話してください。発表時間は2分を予定しています。スライドは事前にご提出いただき、スタッフがまとめて操作いたします(提出締め切り10/15)。
スライドのサンプルはこちら

研究ディスカッション

少人数のグループに分かれ、研究発表・ディスカッションを行います。全部で6回行われ、少人数ならではの濃いディスカッションを多様なバックグラウンドを持った参加者と行うことができます。研究発表を行うにあたっては、ご自身の研究内容を他の参加者に円滑に伝えるために4枚程度のスライド資料のご準備を推奨しております。

イベント

Next Generation Science (NGS) :未解決問題への研究提案

参加者の方々で初日に4~5人からなるチームを結成し、会期を通して新たな研究について考えるグループワークの時間を設け、最終日(3日目)に研究提案についてプレゼンしていただきます。研究テーマは当日までに募集したウイルス学、生命情報科学の未解決問題のクリアを目標とします。新たに集まるそれぞれの参加者の力を総動員して世紀の難問に挑みましょう。


未解決問題の例

  • 配列からの遺伝子機能予測はどうすれば可能になるか?"

  • Nextパンデミック予想"

  • バイオインフォのソフトウェアの停滞感  …など ※アイデアは広く募集中です(投稿フォーム


  優れた研究提案を行ったチームへの「ベストNGS賞」、活発な議論に寄与した人への「ベストコメンテーター賞」などの表彰制度も準備し  

  ています。

  

  ※詳細については追って、スタッフによるチーム形成からプレゼンまでの一連の流れのシミュレーションの様子をアップいたします。

キャリアパスと生命情報

生命情報科学の研究は、キャリア形成にどのように関わっていくのか。民間、アカデミアで今をときめく登壇者の方々に、自分のキャリア選択の経緯や考え方、生命情報科学研究との関係を語っていただきます。

招待講演

浦山 俊一(筑波大学 生命環境系 助教)

講演タイトル

ウイルスは細胞外にデポジットされた細胞制御“自己複製子”

講演概要

ウイルスは、数ある“病原体”の一つとして捉えられています。しかし、いわゆる病原体としての活動が明確には認識されない場にも、ウイルスが存在し増殖していることが、ここ数十年のウイルス研究により明らかになってきました。しかも、その存在量や多様性は、我々の知る病原性ウイルスを凌駕する可能性もあります。従来から続く“病原体”としてのウイルス像だけでは説明できない事実が蓄積しつつある今、その存在を内包した新たなウイルス理解が必要となっています。

発表者は、様々な生物に潜むRNAウイルスを網羅探索する手法を確立し、特に真核生物細胞と共存状態にあるRNAウイルスが普遍的に存在することを示してきました。現在、このようなRNAウイルスの機能や、宿主集団内や環境中での動態から、その存在意義に迫りたいと考えています。本発表では、このようなウイルスが宿主細胞の表現型を変化させるスイッチのような役割を担っているという事例を紹介し、 “延長された表現型”を生み出す因子としての側面から、その存在を捉えなおしてみたいと思います。

若手へのメッセージ

最近、自分にとっての研究の意義ってなんだったっけ?と考える機会が増えた気がします。残念ながら、ふつふつとどこからともなく湧いてくる夢で駆動されてきたとは言えない自身にとって、それを明確に説明することはやはり現段階でも容易ではありません。ただ、振り返ってみると、研究が私を駆動してくれてきたような気もします。その意味では、自分が生きがいを実感するための研究ということになります。卵が先か鶏が先か的な変な話ではありますが。


古澤 力理化学研究所・生命機能科学研究センター/東京大学・生物普遍性研究機構

講演タイトル

生きている状態をどのように理解するか ~理論と実験からのアプローチ~

講演概要

生物システムは、様々な環境変化や内部状態の揺らぎの下で機能し続けられる頑強性(ロバストネス)を持つ一方で、環境変化などに対し、適応や進化などの過程を通じ内部状態を柔軟に変化させるという可塑性を持つ。この頑強性と可塑性が両立できるという性質は、我々の知る人工システムとは本質的に異なる点であるが、その理解には至っていない。こうした頑強性や可塑性を理解するためには、生物システムの「状態」を適切に記述する体系が必要となるはずである。

本講演の前半では、理論解析と計算機シミュレーションに増殖する細胞におけるマクロ状態論[1、2]について紹介し、進化的安定性により取り得る細胞状態が低次元のダイナミクスに拘束されることなどを論じる。後半では、その実験的検証に向けた大腸菌進化実験について紹介をする[3]。ラボオートメーションを活用した全自動培養システムを用い、100種類程度の異なるストレス環境下で進化実験を行ったところ、大腸菌のとり得る表現型は比較的低次元の状態空間に拘束をされていることが示唆された。さらに、このようにして抽出した低次元の構造に基づいて、選択圧にフィードバック制御を加えることにより、進化軌跡を制御する実験手法を構築している。これらの結果を基に、生物システムの状態論がどのように可能であるかを議論したい。

[1] Furusawa and Kaneko, Phys. Rev. E 97:042410 (2018)

[2] Kaneko and Furusawa, Annu. Rev. Biophys. 47:273-290 (2018)

[3] Maeda et al., Nature Comm. 11(1):5970 (2020)

若手へのメッセージ

実験技術の進歩によって大規模なデータが得られるようになり、またシミュレーションや機械学習などの技術も進んで、かつては妄想であったことが出来る時代になったと思います。そんな中で楽しい研究をするためには、一つの分野を極めるだけではなく、色々な分野をちょっとずつでも触れる経験を持つのが良いかなと感じています。この若手の会はそうした雰囲気を持ったところだと想像していますが、そんな議論もできたら良いかなと思います。


スケジュール

生命情報科学若手の会 第13回研究会 タイムテーブル

Contact

お問い合わせはbioinfowakate_staff@googlegroups.comまでお気軽にご連絡ください。